2007-08-01
■アンテナ
いつの間にかケータイのアンテナというのは画面の中の三本の線になったらしい。あの指でつまんで引っ張って伸ばす実際のアンテナはどこへ消えたんだ。冗談じゃない、電話からアンテナが消えたってことは僕らはどこからアレを受信しているのか。
炭の薬缶 - ケータイからアンテナが消えた
多分10年ぐらいは昔の話になると思うけど、
携帯電話のアンテナは技術上、本体内に設置して外部に出さなくすることはできるけど、それだと売れない
買う者の心理として、あるべき*1ものが無い、ついてない、というのは無意識下で大きな障壁になる
てな話を読んだか聞いたことがある(直接開発者に聞いたような感じがする)。
ICチップなんかを考えればアンテナが棒状である必要なんてないことがよく判る。
■300日攻撃
ゼロデイ攻撃と対極にあるケースとして「300日攻撃」と命名している。
今度はRARスパムが氾濫、旧バージョン製品狙った「300日攻撃」も - ITmedia News
ニュースのタイトルの付け方が圧倒的に良くない。
■識別と認証を区別して考えることはセキュリティに繋がる
というか「セキュリティ問題を回避できる」と言うべきか。
識別と認証を混同すると、深刻なセキュリティ問題になる。
とは、
の278ページに書いてあることである。
ログインid=識別に使われる情報で、パスワード=認証に使われる情報である。
ログインidは秘匿できるとは限らない。はてなやYahoo!など、他の用途(blogやオークション)に使う以上、オープンな情報だとするべきだ。
だからこそ、パスワード=認証情報は秘匿しなければならない。バイオメトリクスが流行なのも、複製や偽造などが不可能とされているからだ。
そのバイオメトリクスを巡って、「深刻なセキュリティ問題」が実際に起きつつあるような気がする。
というプレスリリースがある。これはいいとして、2007.4.30の日経ビジネスにちょっとビックリするようなことが書いてある。
「手のひら静脈認証は、そういう使い方を想定していない」。富士通の担当者の反応はつれなかった。
(略)
再び富士通の担当者にかけ合い、「図書館システムで使用できることが証明されれば、セキュリティー分野以外にも利用範囲が広がるはず」と結局説き伏せた。
(略)
登録されている何千、何万もの静脈パターンの中から該当するデータを見つけ出す必要がある。そのままでは利用者は何分間も待たされ、貸し出しシステムとして使い物にならない。
(略)
利用者ごとに認証番号を登録して、本を貸し出すときに入力してもらう。この時点で該当する静脈パターンが絞り込まれるので、認証にかかる時間も短縮された。認証番号は誰もが忘れない数字として、利用者の生年月日を選んだ。
……判るだろうか?
表面上は――あるいは表現上は――生年月日を認証情報としている。
しかし、日経ビジネスの記事から判断する限り、システム上は生年月日が識別情報で、静脈パターンが認証情報だと考えるのが妥当だろう。
想像しみるといい。
たったの365日、365パターンのユーザidしかないシステムを。大間違い。生年月日だった……。スミマセン。
大文字アルファベット2文字分以下の情報量である。
認証情報には確かに偽造が難しい静脈パターンを用いてはいる。
現在では登録可能な約1万人のうち8割以上が静脈認証を使用している。
と記事にあるので、そのシステムで「なりすまし」が可能である確率は確かに低い。「なりすましの可能性」のトレードオフとして利便性を採ってもいいレベルだ。
しかし、富士通の担当者が言った「そういう使い方を想定していない」という言葉は正しい。
この様なシステムが――識別情報を認証に、認証情報を識別に使ってしまうようなシステムが、本当に広まってしまったらどうなるか。何十万人という利用者が使い始めたらどうなるか。想像してみよう。
自分が入力しようとしている、あるいは登録しようとしている情報が識別情報なのか認証情報なのか。それを区別し、判断できるような目を持たなければならない。
日経ビジネスの記事を書いた人も、富士通を説き伏せたと言っている図書館の人も、日経ビジネスの記事を書いた人は、本当に識別と認証を区別してリスクを認識していたのだろうか? と不思議に思うのだった。
追記と一部本文の訂正(打ち消し線部分とその前後)
利用者の認証手段としては「手のひら静脈認証」と「和暦の誕生日」と「資料の数(貸出冊数)」の3点セットになっているそうです。
日々記―へっぽこライブラリアンの日常―: 続・図書館に静脈認証システムが
とあるので365日×100年+α(2月29日)か。(貸出冊数は認証じゃないと思う……。今から借りようとする本の冊数じゃないかなぁ)
36500余通りだと充分に感じるかもしれないが、クレジットカードの数字が16桁あるのに比べるといかにも小さい。
一般的なidに使われる英大小文字+数字なら3文字以下。
しかも、"有効な数"が明であるし、出生数で偏りがあったりもするし。
*1 あるべきだと思いこんでいるだけの話だが。
2007-08-02
■絵本の探索
検索ではなくて探索がしっくりくる。
サイトが解りづらい〜。
「ほんナビきっず」という四角をクリックするといい。(おそらくは)メインのコンテンツには、そこから入る。
昨日のエントリを書くのに色々漁っていたらでてきたよ。
■which コマンド on WindowsAPI
UNIXのwhich(コマンドの実体を表示)と同じような機能を持つWIN32API関数は有りませんか?
http://q.hatena.ne.jp/1185955483
FindExecutableで出来ます。
MSDN=>FindExecutable
FindExecutable("notepad",NULL,lpBuf)
って感じで、結果lpBufにフルパスが格納されます。
へぇ。
SFU(Service for UNIX)に which コマンドがあるのでどうにかなるだろうとは思って見ていたけど。
Shell32.dll に入っているのか。
2007-08-03
■文芸社
この結果、文芸社の指示通り消費税ぬき定価1200円で800冊を印刷したのですから、文芸社の出費は全部で96万円あれば足りると見ました。これには、印刷校正費は当然含んでいるでしょうが、従来の自費出版なら数十万円の出費だけで済むものと見込まれることから、広告宣伝費も含んでの金額と考えられます。そうすると、初版分が1冊も売れなくても出版社には58万円の利益が残り、そこに何冊かの卸売上分(概算700冊×960円=67万円)の収入が加わるのですから、共同出版は出版社にとって美味しい話であることは確かです。
共同出版につられたお粗末 - OhmyNews:オーマイニュース “市民みんなが記者だ”
感情的にもならず、淡々と、客観的な判断ができているあたりが素晴らしいです。
さすがにAmazonには入ってますな。今日時点で在庫1点。
2007-08-04
■PSPガイドブック
Personal Software Process である。AmazonからDMが届いたのである。
えいやっと買うにはちと高い。
本屋で見てからだな……。
2007-08-05
2007-08-06
■親子で本を読む
夏休みに『同じ本を親子で読み、読み終えたら感想を話し合ってみてください。』との課題が出ました。
自分だけが読む本じゃなくて、娘も読む本ですので、難しいです。
http://q.hatena.ne.jp/1185455969
書きたいことがあったのだけど、回答は控えてそのまま忘却していた。
今更だけど書いておこう。
だ。
p166
ドラッグ問題について、良い情報も悪い情報も隠すことなく、また、偽りなく子どもたちに教えることだけが、ドラッグで引き起こされる悲劇を最小限にする、というぼくの考えに揺るぎはない。ドラッグ問題は「嘘も方便」ですますことのできる領域ではない。
著しく情報が制限されていて、問題に直面したときにどう行動するべきなのか、誰も教えてくれない領域だから。
それ以外の問題ならば頼りになるかもしれない人たちも、こと薬物に関しては同様に情報が制限されていたりして、正しい判断ができないかもしれない。
もっと言うならば、助けを求めている側が望む対応と、社会的に正しい対応が異なってしまう、という問題もある。
p134〜5
身近な友達や教師は、ドラッグ問題ではあてにならないかもしれない。(略)ドラッグを止めたいと思い切って相談したのに、相談した教師から「ヤク中」というレッテルを張られ、ひどく叱責されたひとをぼくは知っている。
警察や教育委員会に連絡されることもある(そうしないと教師自身が咎められるからだ)。教師がたとえ人格的、学問的に優れたひとであり、人間としては信頼できても、ことドラッグに関してあまり期待できないのは、彼らがドラッグ問題に関して、バイアスのかかった情報しかもっていないこと、そうした問題を扱ったことがなく、経験不足なこと、そして、違法行為を関係機関に通報しなければならない立場にいるからである。
きみが、なんらかのドラッグの依存症で苦しんでいるなら、こころの病気を扱う、病院の精神科や心療内科を受診することも大切だ。
物語などよりも、こんなものを読んでもよいんじゃないかと思ったけど、内容が内容だけにナイーヴな*1人にはお奨めするのもなんだし……。
ま、親が先に読む必要はありそうだけど。
あぁ、
みたいな本も面白いかも。
■スーパーコンピューターを20万円で創る 読了
出版された直後に買ったんだよな。
読み始めたらこれが面白くて、一息に読み終えてしまった。
文中、「ゼロから一を作り出す研究」と「一から十を作り出す研究」と、研究には大きくわけて2つのタイプがある、と出てくる。
前者に立ち会える人は、能力においても機会においても希有だと思う。そんな人の体験談は、いつだって面白い。それって人間の性なんじゃないかとすら、思う。
それはそうと、「栄光なき天才たち」の原作者の方ですか。
もちろんタイトルはずっと前から知っているし、興味もある。
でも不思議と読む機会がない。どうにも縁がない。
この本を読んだことで縁ができるといいな。
*1 ナイーヴの意味を調べてみるべし。
2007-08-07
■"プログラムの追加と削除"の代わり
MyUninstaller: Alternative uninstaller to the standard Windows Add / Remove module
via
■Excel数式バーでF4キーを押す
$マークを付けるのが面倒なら、数式バーでF4キーを押すと$マークが付いてくれます。
2回3回と押すといろいろ$マークの位置が変わるので試してください。
http://www.relief.jp/itnote/archives/001990.php
本当だ〜。知らなかったよ。
■SNSの研究 読了?
雑誌の特集を延々と読まされている気分。
「読んでいる気分」じゃないのはなぜだろうと考えてみると、レイアウト、編集のせいだな。
雑誌記事から本文を抜き出しただけ、という感覚が(事実かどうかはおいておいて)手抜きっぽく感じさせるのではないか、と。
内容がバラエティに富んでいるので、こんな感想。
2007-08-08
■かっこういい
かっこいいメールの署名の書き方を教えてください。
http://q.hatena.ne.jp/1186480211
のコメント
回答をオープンする前にコメントしておきます。
わたしは↓ここのテンプレのような署名は
まったく"かっこいい"とは思いません。
http://mailsign.jugem.jp/
これは……、質問に反して、「テンプレ集に喜んで登録する様なものはダメダメじゃね?」というのが真意な、そんなはてなだったりしてね。
■ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論 読了
左サイドバーに「ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版(ダグラス・R. ホフスタッター/Douglas R. Hofstadter/野崎 昭弘/柳瀬 尚紀/はやし はじめ)」がでてきたら"当たり"です(何がだ)。
面白かった。力作。
感動的ですらある。
先に白状すると、私は不完全定理を理解していない。
本書でも引用している量子力学に関するボーアの有名な言葉「量子力学をわかったと思っているなら、それが量子力学をわかっていない証拠だ」を持ち出すまでもなく、私は不完全定理を理解していないと断言できる。
でも、それでもなお不完全定理が垣間見せる世界は魅惑に満ちていると感じてしまう。
だからこの様な本を読む。
で、やっぱり理解できないままになる(もっと白状するなら「G.E.B.」を読み終わっていなかったりもするし)。
でも大丈夫。
この本はそれで充分。
この本のタイトルは「ゲーデルの哲学」。
p10 はじめに
ゲーデル自身は、不完全定理から、いかなる哲学的帰結を導いたのか。
が主題。
逆の視点に立てば、ゲーデルの生涯と業績から不完全定理を――イメージとして――浮かびあがらせることを可能にしている、といってもいい。
妙な話だが、理解に先んじて"想像させる"ことに成功しているのではないか。そんな感じすらある。
だからエントリタイトルにサブタイトルまでわざわざ書いたわけだ。
さて。
"想像させる"と書いたわけだが、第I章は「不完全定理のイメージ」だったりする。
その中で、
p22
パズルについては、インディアナ大学のレイモンド・スマリヤンが作ったものを単純化して用いる。スマリヤンは、不完全性定理の基本的なアイディアを論理パズルで導く方法の創始者であり、この分野では最も定評のある論理学者でもある。
とある。
雑誌「数学セミナー」で知って速攻Amazonに注文した、
が今手許にあるんだよな。でも糸栞は本の五分の一あたりで止まっているんだよな……。と悲しくなったりして。
学習する愉しみも、数学も、「汲めども尽きせぬもの」なるは必然――。
2007-08-09
■マネーロンダリング
マネーロンダリングは「キィワード」。
マネーロンダリングとは、という話ではなくて、マネーロンダリングというキィワードを通して見えてくる世界がある、という話。
もちろん最初はマネーロンダリングとは何か? なぜ成立するのか? その理由は? という話から入る。
ここで「わらしべ長者」という誰でも知っている話を引き合いに出して説明するあたり、巧いと思った。
わらしべ長者の最後で、屋敷と田畑(でんぱた)を手に入れた状態を考える。
なぜ若者はこのような屋敷と田畑を所有しているのか? という疑問も持つ者がいたとしよう。
それに答えられる屋敷の元所有者は、馬に乗って遙か遠くへ出かけている。
馬を譲った男は、自分はろくに動きもしない駄馬を手放したと考えている。
みかんと反物を交換した女は、その相手が立派な屋敷に住んでいるなどと思いもしないだろう。
若者が自分から語りさえしなければ、彼が屋敷と田畑を所有している理由は判明しないだろう。
もちろん、ここでいう「なぜ若者はこのような屋敷と田畑を所有しているのか? という疑問も持つ者」は査察官や警察組織の謂いである。
査察官といえば「マルサの女」。
「マルサの女」と言えば脱税。
本の後ろの方にでてくるのだけど、闇経済の内訳で、個人の脱税という項目の比率が意外に大きい。
50%以上。
うーむ。
タックス・ヘイブン(Tax HavenであってTax Heaven ではないそうである。知らなかった)、スイス銀行、地下銀行、カジノ、ネットオークション。
これらマネーロンダリングが行われる「場所」。
ロシアンマフィア、タリバン、アルカイダ。マネーロンダリングを行う「組織」。
汚職(賄賂、横領)、脱税。マネーロンダリングを行う「理由」。
ベンチャー企業への投資、不動産、高級車に貴金属。マネーロンダリングでお金の仲介になる「モノ」。
とまぁ、様々な「闇経済」をマネーロンダリングというキィワードで縦断する本であった。
余談
の著者ですな。
あたりもぜひ。
2007-08-10
■進化論
「楽園の杭」野尻抱介
『異形』らしくないSFだな、と感じたのだけど最後のページは味があるなぁ。
「うしろへむかって」井上雅彦
最高。
形式的には、スタンダードな現代的な怪談でもあるし、『異形』らしい「一体いつからここに?」ストーリーでもある。
しかし、ストーリー以上に、井上さんの言葉の美しさ、闇の深さがきわだつ、宝石の様な一篇だった。
2007-08-15
■コピペされるのは別にサイトポリシーだけじゃない
秋田、山梨、栃木各県などでも、母子世帯に優先枠を設けるなどの優遇措置があるが、対象を「寡婦」に限定。ただ「非婚世帯が増えている現状にそぐわない」などとして、いずれも実際の運用では区別せず優遇対象にしているという。
「非婚」の母子世帯を除外/公営住宅入居の優遇枠
Webの記事にはないけど、最初に作られた要項がそうなっていたのでそれが今まで残っている、という趣旨だった。
要項を修正せずに運用でカヴァーというのは「お役所仕事*1」としてはよくないような?
■substring
ある文字列の1文字目から15文字目を取得したいのですが、
http://q.hatena.ne.jp/1187019276
どっちかというと、「1文字目」や「15文字目」がどういう意味があるのか? という考え方をしたほうがいいような。
それによって、そこに if で書くか、そのクラスのユーティリティメソッドにするか、ユーティリティクラスにするかを決めると思う。
s = s.substring(0, Math.min(15, s.length));
ってのもありかな、とは思う。Math.min は意図が明確ので。
■さして巧みでもないがけれど詭弁
こんなことでは近い未来、また戦争が始まるんじゃないか?という不安です。
そこで皆様にお聞きします。
今、日本人の倫理性は向上中なのか?それとも低下中なのか?
どう思われますか?
また、40歳以上の方には是非聞いておきたいことがあります。
80年代、90年代、そして現代のうち、最も人々の心の温もりが感じられたのはいつですか?
http://q.hatena.ne.jp/1187178383
「戦争が始まるんじゃないか? という不安」と「日本人の倫理性」にどんな関係があるのか。
太平洋戦争を起こしたのは日本人に倫理性がなかったからか?
本当にそうだと思っているなら、「倫理性がない」人のリストのトップに入れてあげようじゃないか、と思った。
質問自体と質問の枕に一体どんな関係が? という質問は多いけどね。
……「某戦争アニメ」は「某戦争漫画」ではなかろうかとも思うが、「某」なのでまぁいいか。
*1 悪いニュアンスを全く含まないことに注意。
2007-08-16
■ホラー映画ベスト10殺人事件
スプラッター映画な小説。
しかし、各章サブタイトルになっている作品を一つも見たことがない、というのはどういうこと? > 自分
悪魔のいけにえ、スキャナーズ、2000人の狂人、悪魔のはらわた、ハロウィン、地獄のモーテル、である。
2000人の狂人と地獄のモーテルはともかく、他の作品を一つも見ていない。
挙げたタイトルから判る通り――いやいや、タイトルで判る人はそもそもフツーの人じゃないんじゃないかというツッコミもあろうが――ホラー映画、とりわけスプラッター映画への偏愛に満ちた作品であり、その界隈の業界暴露本的な作品でもある。
スプラッター的描写は、「この程度なら別にどうということはないな」などと思ってしまうのはすっかり異形コレクションの影響か。
でも最近バイオハザード4 Wii edition をプレイしていてショッカーな演出は全然駄目! 苦手! と自覚してしまう。
つまり自分はホラー映画を高く評価している*1くせに恐がりで見られないという、火が怖い消防士みたいな、「ありえない」存在なのだ。
さて。
よく考えてみると「○○殺人事件」と名が付いた作品で、本当に「殺人事件」だけを書いたものって……ないよなぁ。
現実は「事件」なるものはメインではなく、その過程で生じた何らかの不思議/不可解な"何か"、"ミステリィ"、"謎"の方がメインなんだ。
でもこの本は違う。
別に謎があるわけでもなく、読んでいる側が騙される謎――要は叙述トリックがあるわけでもない。
業界暴露的な面はあるけど、本当に、「殺人事件」が起きました、狙われる人がでてきて、殺されて、犯人がでてきて、犯人が捕まって……。
終わり。
おいおいこれで終わりかよ!
などと思いつつ最後の1行でつい笑ってしまうという。
何を書いているのか判らなくなってきた。
それぐらい妙な小説だった。
*1 ホラーとコメディを特に高く評価するのはそれ――怖がらせる、笑わせる――がすごく難しいからなのだ。
2007-08-17
■セキュリティはなぜやぶられたのか 読了
ようやく読了。
半分まで読んだ時のエントリはこちら。
この本の趣旨はここに集約されている、と感じたところ。
p352
テロリズムとは、人や物に対する犯罪と考えられがちだが、本当は人の心に対する犯罪である。テロの目標は、人の心に恐怖を植えつけることだ。
恐怖は人の判断力を麻痺させる。
安全である/より安全になると判断したことが正当だったのか? という問いかけを無くすほどに。
p355
ワシントンDCに住む知人に、テロが怖いからと飛行機にも乗らなければ公共交通機関も使わないという人物がいる。だから自動車で移動しているというのだが、これでは自分が死ぬリスクを高めるだけだ。
その次のページに、死亡者数が多いテロ、非通常兵器によるテロ攻撃が表にまとめられている。
神経ガス(サリン)による東京地下鉄および松本での死傷者数が載っている。
死亡者数を記憶している人はどれほどいるだろうか? 前者が12人、後者が7人。合わせて20人にも満たない。
印象としてはもっと多くの人が亡くなった様な気がしていないだろうか?
同年に起きた阪神淡路大震災の死者数が6千人を超えている。"なんとなく同じぐらいのインパクトがある事件"と記憶している人はどれほどいるだろう。
著者は続ける。
p358
国際テロのリスクを過小評価したり否定したりしようというわけではない。ただ、バランスの取れた見方をしようというだけのことだ。2001年、米国では、テロ(同時多発テロ)で3029人が亡くなった。同じ年の死亡者は、肺ガン一56,005人、糖尿病71,252人、交通事故41,967人、栄養失調3,433人だった。*1
あとはメモからいくつか引用するにとどめよう。
識別と認証の話。
p283
偽造文書を刑務所にファックスすることにより、自分を釈放させた囚人も実際にいる。
セキュリティ・プロトコルの話でもあるな。
p290
レジテープのデータは、その紙自体が偽造ではないと考えられれば認証される。これが、レジテープが長いロールになっている理由である。
なるほど。
偽造・複製の話でもひとつ。
p323
保護したい資産が複製可能なものであれば、つまり音楽CDやソフトウェア、コンピューターの文書ファイルや各種データなどであれば、「複製」が効果的なセキュリティ対策となる。盗まれないようにはできないが、データを失わないようにはできるからだ。
例えば「ただ一枚のCD-ROMにしかないデータ」なるものがあるとしよう(時々映画にこんな設定でてくるよなぁ)。その媒体が盗まれた時に「そこに入っていたデータが悪用されていないか」を確認するにはどうしたらいいだろう?
そのデータの使い途が完全に特定されていれば(ある金庫が開けられるとか)それが実施されていないかを監視すればよい。
でもそうでなかったら、どうすればいいだろう?
個人情報でござい、と言って鍵をかけたロッカーに複製が他にない状態でしまっておくのは、セキュリティの視点からは間違いなのだな、とここを読んで改めて認識した。
もちろん複製を作ることは「攻撃を受けるポイントを増やす」というトレードオフがあることは本書でもしっかりと触れられている。
国土安全保障省が発表している"脅威レベル"について、米軍のDEFCONの比較から何の役にも立っていないことを示しているところ。
p371
違いは、DEFCONはレベルが上下するたびに軍隊が定められた手続きを実行するが、国土安全保障省の脅威レベルでは手続きが何も定められていない点だ。
これ、日常業務でもありがちな問題だと感じた。
メールの表題、バグトラッキングシステムのチケット、何でもいいけど、"優先度"なるものがあるシステムでは「もし優先度が"緊急"ならばどの様に行動するか」を決めておかないと、ただの相対的な情報にしかならない。
で結局、ソート順に使うぐらいしか意味がなくなるんだよなぁ。
p354〜355
最近、サイバーテロという言葉がよく登場するが、これは針小棒大である。(略)こんなことがあってもいらつくだけで、恐怖は感じない。(略)
サイバーテロによって電力網を掌握したりダムのゲートを開いたり、航空管制ネットワークを乗っ取って飛行機を衝突させたりというのは恐ろしい事態だが、非現実的だ。このようなことをリモートで行うのは、とても難しい。インサイダーならできるかもしれないが、それでも、コンピューターネットワーク経由よりも現場に行ったほうが大きな損害を与えられる。
最近公開された某映画を揶揄しているようでもあり面白かった(もちろんそんなはずはない)。
でもまぁ、その通りなんだろうな。
テロが発生した瞬間にテロリストが現場にいるなんていうのは下の下だが、しかしテロリストが現場にいって何かをしかけた方が、遙かに大きな損害を与えられるはずだ。
余談ながら、2001年の同時多発テロは「テロが発生した瞬間にテロリストが現場にいるなんていうのは下の下」という原則を覆したという点で革新的であった。
それゆえにハイジャックはあの瞬間まで「時代遅れ」なテロだったのだ。
世界貿易センタービルのあの動画を見て一瞬呆然自失となったのだけど、次の瞬間には、この計画を思いついた者の発想力はすごい、と思った。
「テロの実行者の命を保証しない」というたった一つの条件を変更しただけで、ハイジャックにこれほどの脅威を持たせることができるのか、と。
けれど、それでもなお、テロへの恐怖をのりこえて、私たちは様々なセキュリティのトレードオフを判断していかなければならないのだ。
恐怖に負けて、誤った選択をしてしまった時が、本当の意味で"テロに屈する"ことになるのだ。
それがこの本の主題であろう。
この本の原題は"Beyond Fear"である。
■抽象化プログラミング入門
ざっと目を通した。
細かく読む必要はないかな。でも後輩に薦められそうだ。
あれ? Amazon のデータ間違ってるぞ?
Java←→UML 自由自在の達人になりませんか?
だ。
ざっと読んで思ったのは、この"→"がポイントかも、ということ。
ソースコードからUMLへ、っていうのは日常的にやらないなぁ。それでソースコードをモデルに変換して思考できるようになるのでは、とか思った。
*1 この引用の数字部分は本文では漢数字で書かれている。引用にあたりアラビア数字で表記した。
2007-08-18
■宮
……回答できないや(閾値のせいで拒否されている)。
占いで、生年月日・氏名・生まれ時間の他に『生まれた土地』を聞かれるものがありますが、日本国内の中で、生まれた土地によってそんなに運勢が変わるものでしょうか?
http://q.hatena.ne.jp/1187270079
雑誌に載っているような星座占いでも、今月からナントカの星に入り・・・などと書かれていますよね。
個人のホロスコープを作るには生まれた細かな土地の情報が必要で、姓名や生年月日が一緒でも、北海道生まれと沖縄生まれという生まれた土地の座標に違いのある人間は運勢が変わって来るということですね?
http://q.hatena.ne.jp/1187270079#a748959-replytitle-content
「雑誌に載っているような星座占い」で"○○座の人"という言い方をするけどあそこに○月○日〜△月△日生まれの人と書いてある。
あれは太陽宮。
生まれた時に、太陽の方角にどの星座があるか? ということ(見えているか、ではない)。
この時恒星天と太陽はほぼ同じ様に動く*1ので、生まれた時間や土地によって変わることはなく、誕生日だけでいい。
p192〜
「あのね。僕の誕生日は七月二十一日なんで、普通に誕生日であてはめる太陽宮なら蟹座なんだけど、上昇宮は天秤座にあたるんだよね。そんでね、西洋占星術では上昇宮で占うのが本当なんだってさ。だからつまりね、雑誌に載っている星座占いは、僕の場合、蟹座じゃなくて天秤座の欄を読まなきゃ意味がないってことなわけ」
(略)(略)(略)
「(略)よって太陽宮は誕生日で決まっちゃうんだ。ところが上昇宮は、出生時刻に東の地平線を昇って見えてくる星座が当てはめられるわけ。(略)」
と書いてあるのだけど、つまり西洋占星術では上昇宮を大きなファクタとして見る。
生まれた時、生まれた場所のその空で、東の方角から"今昇って見えてくる星座"が上昇宮。
これは出生日と出生時刻と出生場所まで判らないと出てこない。
ただし、"日本人ならばほとんど日本で生まれたであろう"という予測から、日本人に対しては出生場所は正確でなくてもまぁなんとかなる。だから出生日と出生時刻でだいたい大丈夫だろう、となるわけだ。
現時点で開かれている回答に、この"日本人ならばほとんど日本で生まれたであろう"という前提が遠回しに書かれてるので、あえてトラックバック。
10年以上前にゲームセンターに置いてある占いをやった時に出生地を訊いてきて(タッチパネルで指定する)、それを見た時に「あ、これはなんか少しまともっぽい」と思ったりした。
あ、この"まとも"ってのは正統の西洋占星術っぽい、という意味ね。
■占いを信じる/信じない
普段、
占いを信じるか信じないか
という話にはよくなるけど、占いを信じる人はその先に、
占いを信じた上で、具体的に占いに依って行動するかしないか
という選択肢が待っていると思う。
そしてさらにその先に、
周りもみてその上で行動するかしないか
という選択肢が待っている。
仕事をするにしても自分一人に完結するなんてない。
自分の"仕事運"が良くて、今日重要な商談に臨む人の"仕事運"が悪かった時に"自分の仕事運が良い"という占いを真に信じているならば、当然その人をフォローしようとするよね?
という話だ。
"占いを信じている"と称する人に、こういう話しをしたらどういう反応が返ってくるだろうか。
あぁ、そうそう。
"占いを信じている"人ならば、血液型占いとか動物占いとかああいうは性格判断であって占いじゃないよね、と主張するはずだ。
性格判断は確かに"占いの一部"ではあるけど"占い"そのものではないだろう。
"占いを信じている"人ならば、そこのところの誤用/乱用を"ゆるせない"と思うのではないかな? っていうか当然そう思うよね?
■エル・カザド 1
いつの間にかでていたので――っていうかDVDのセールスなんてチェックしていないから気がつくはずはないのだけど――購入。
1巻ではまだ何がなにやら。
でも久川綾さん演じるブルーアイズがいい感じ。
NOIR,MADLAXに続いて、いい役任されてるなぁ。
さぁ、13巻集めてまた何かもらうぞ!
*1 365日かけて一周するわけで1日の間では1度ぐらいしかずれない。逆に言うと1度ぐらいずれるので、その境の日付で生まれた人の太陽宮は厳密に言うと時間で決まる。本や占者によって微妙に日付の範囲が異なっていたりするのはそのせい。
2007-08-19
■名前の読み方
同じニュースなのに、
名前の読み仮名は戸籍法には定めがなく、法務省は「漢字からおよそ連想できない読み仮名は再考を促すよう各市町村にお願いしている」という。
asahi.com:「稀星」は「きらら」か? 出生届受理で2市町対応に差 - 暮らし
の部分と、
法務省によると、戸籍法は使える文字を同法施行規則で常用漢字、人名用漢字、カタカナ、ひらがなとしているが、読み方には言及していない。同省は「読み仮名が不適切というだけで不受理にするのは法的根拠に乏しく、できないのではないか」としている。
asahi.com:「稀星」は「きらら」か? 出生届受理で2市町対応に差 - 暮らし
の部分がちょっと変。
「再考を促す」ことはしても「不受理」にはするなってこと?
「漢字からおよそ連想できない読み仮名は再考を促す」ってのも一見問題なさそうでいて妙なことなのではないか。
私の名前は、"漢字を最も素直に音読みする"のが正しい(というのはつまり親が付けてくれた)読み方なのに、一発でそう読んでくれる人は少ない。
無理に訓読みしたり、濁音を追加して読む人が圧倒的多数。
こう読むんですよと言えば納得してもらえるとはいえ、この状態は「およそ連想できない読み仮名」とあまり変わりがないんじゃないかと(大違いだと言われればそれまでだけど)。
で、うちの子は反対に"正しい漢字の読み方ではないけど誰も気がつかない"、あるいは"指摘してくれない"当て字だったりする。
本当はそうは読まないと知っていたけれど、でも誰も正しく読む人もいないだろうと思ってつけたわけだ。
実際、本当の読みじゃなくて当て字なんだと説明すると、大体の人はそうなんですか? という反応をする。
役所の人が"この読みでよろしいですか?"と確認してきたのは、後から考えると正しい読みを知っていたからなんだろうな。
あとディズニーランドに行ってオフィシャルホテルのチェックインをした時に、担当の人が正しい読みをしてくれたのはさすがだ、と思ったなぁ。「それで○○と読みます」と答えることになったけど。
つまり「漢字から簡単に連想できるが間違い」な読み方なのはいいのか? とも思ったり。
2007-08-20
■tinyc○feさんのリアル知り合いって
ふと思ったのだが、tinyc○feさんのリアル知り合いの人は、URLが変わるたびに「アドレス変えました!」というメールを受け取っていたりして、またかよ! とか言ってたりしないだろうか。
2007-08-21
■Firefoxのアドレスバーをクリックすると全選択になるのが邪魔な人へ
私もその一人なわけだが。
about:config
から、browser.urlbar.clickSelectsAll
を false に設定するとよいそうだ。
快適だ〜。
ちなみに、Alt+D や Ctrl+L での移動では全選択される。これは私的には問題ない。
browser.urlbar.autoFill
なんて設定もあってこれも面白い。でも要らない。
2007-08-22
■Vectorのフォント指定が……
font-family:"Hiragino Kaku Gothic Pro", Osaka, "メイリオ", Meiryo, "MS Pゴシック", sans-serif;
メイリオ……。
■今すぐできる! ファシリテーション
通読ののち、目次部分をコピーしてチートシートとして使うのがよいか。
ファシリテーションの実践を、"フレーズ"という切り口から解説したもの。
で、自分が普段口にしないなぁ、というフレーズから考えるべきか。
「ここは話の続きを聴いてみませんか?」
かな。
2007-08-23
■斯くのごとくしてオリジナルは失せパロディは……
3日前にふと思ったことを書いたわけですよ。
なぜかたまたま、
から辿って、
を読んだからなのですな。
サーバーメンテナンス画面→「只今荒らしの攻撃を受けております。抹殺までしばらくかかりますのでお待ちください。」
や、
全面賛同コメントロボット機能
などはなかなか面白いな、と。
「全面賛同コメントロボット機能」は──コメントスパム用のツールとしてだけど──すでに実装されてそうだ、とか。
それでふと思いついたわけですよ。
例えばこのサイトの存在を友人知人は知ってはいるのだけど、別に読んでくれたりコメントくれたりするわけではないし、そもそも友人知人に読んでもらうことなど一片も想定していない。
最初から"Webなるもの"を相手にしているわけで、リンクされ、読まれることが価値を生むと思うのですよ。まぁ、7割がた自分の備忘録にしているというのも事実ですが。
しかるに"あの人"は"Webなるもの"を相手に何かを書いているわけではない──といっても途中から本来のコンテンツそっちのけで「無断リンク禁止」を通りこえて「なんでリンクするんだ!」の主張の方がメインになっている気もしないではないがそれはおいといて──ように見える。
「リアル知り合い」と書いてはおいたけど真意は「Web以外に連絡手段がある知り合い」というぐらいの意味であって、なおかつ氏が"元々書きたかったコンテンツ"で想定していた相手というニュアンスも含んでました。
望外にはてなブックマークへの登録をいただいて、ある程度の数読まれることとなったわけですが。
それはそれとしてなにかの偶然か同じタイミングで、ここのアクセス記録のリファラにこんなページが。
なんだ、無断転載か。
eiko1196 の異国見聞録 なにがあった?
から丸写ししました。
木全瑶子のちくわ女な毎日 無断リンクは認めません
短いコメントでサイトの意図も明確ではない(明確ではないが判る)けど、これは一体……。(追記:後者はfc2から凍結されているよ。早っ!)
リンクされているサイトの該当エントリも、意図が明確ではなく、何が起こっているのか、コンテクストが判らなくなってしまいました(私が意識して追いかけていないのは事実ではあるけれど)。
パロディとして構成したはずの、
は、すでにオリジナルはネット上から消えており何がどうパロディであるのかは、オリジナルを当時読んだ人か、継続してウォッチしていてコンテクストを見失っていない人にしか判らないはずなのです*1。
そんな状態で、パロディであるはずの文(のコピー)がリンクなし言及なしの形で立ち現れたらしいです。(しかもオリジナルを書いた──であろう──人の手によって!)
それでどうなったかというと、何が起こっているんだかこちらは全く認識していない間に、こちらがオリジナルであちらが「無断転載」「丸写し」となっている不思議……(というか、"あの人"は中身を読まないでコピーしたのか?)。
引用やたとえ話、うわさ話だけが一人歩きして"事実"であるかの様に振る舞う、なんて特別なことでも希なことでもない、とは解っている。
観客だと思っていた側が突然「物語」の側に引きずり込まれる、
のような。
あるいは、
に収められた小松左京「牛の首」。
そんな軽い酩酊を覚えましたよ。
追記
「牛の首」については、
で書きました(簡単にだけど)。
追記
攻殻機動隊Srand Alone Complexの主題「オリジナルの不在がオリジナルなきコピーを作り出してしまうなんて……」を地でいっているな、と後で思った。
■DebianでRails
Debian4.0でRails。
Webrickがlocalhost:3000でlistenしているので他のマシンから見られず。
なぜ?
vendor/railties/lib/commands/servers/webrick.rb
の先頭 :ip を 127.0.0.1 から 0.0.0.0 に変更。
さておきRailsをaptで入れられるとは思わなかったなぁ。
バージョン古いんだろうけど。
*1 かくいう当事者の私もオリジナルが正確にどういう文であったかは、もう分からない。ちなみに元は「個々のページにリンクするな! トップページにしろ! マナー違反だ!」で、私がパロディとして書いたのは 「トップページにリンクするな! 個々のページにしろ! マナー違反だ!」という内容。
2007-08-24
2007-08-26
■心霊理論
素晴らしい。
何がいいって、このテーマ。タイトルを見た時から傑作の予感がしていた。
そして編集序文を見て、井上雅彦の狙いの正しさを感じた。
この巻。今までの《異形コレクション》とは違い「怖がらせること、ぞっとさせることが条件」を条件としているのだ。(一応書いておくと、《異形》な作品には「ちょっと奇妙な話」や「ブラックコメディ」なども含んでいるので必ずしも「怖い」とは限らない。この様に「怖がらせる」という縛りが課せられるのは珍しい。また、編者の提示した条件が、読者側に明かされることも珍しい)
「理論」の提示を求めておき、一方で「恐怖小説」「ホラー小説」も条件にする。
これはすごい。
「屋上から魂を見下ろす」斉藤肇
この巻の一番のお気に入り。
「呪い」と「死」。
その考察から「呪いの解体」へと繋がるストーリーだが、「解体」が同時に「再構築」でもあるあたりに唸らされた。
「古き海の……」柄刀一
判りやすい展開に目をそらされてしまい、最後の一行で驚愕。
というかちょっと非現実的?
それも含めて計算しているのだろうけど。
「自己相似荘(フラクタルハウス)」平谷美樹
一番の「論理で押してくる」タイプだと思って読んだ。
なぜ「幽霊屋敷」となるのか?
シェイクスピアの引用。
論理も綺麗だが、そのピースや道筋も綺麗。
「くさびらの道」上田早夕里
一番怖かったかも。
SFホラー。「くさびら」って言葉知らなかった。
ここに挙げなかった他の作品も総じてレベルが高く、「酒の夜語り」に匹敵するテーマの独自性も相まって、シリーズ屈指の出来栄えかと。
2007-08-28
■数独
この記事で「数独」が本名だと判るか?
タイムインターメディアは8月27日、「SUDOKU」(数独)の名称で知られるパズル「ナンバープレース」(ナンプレ)の問題を自動生成するプログラムを
高性能「ナンプレ」自動生成プログラムがオープンソースに - ITmedia News
2007-08-29
■色々
封印映像を気にするぐらいなのでこういう本にも興味がある。
気になる。
本そのものよりも、「各学校の先生たちは自分で考えないでこういう本を読んで決めるのだろう?」ということの方が気になる。
一応本屋でチェックしとこう。
……シリーズの1は?
■戦争学 読了
望外に面白い本だった。
しかし「戦争学」とは第一印象で損をしそうな題名だ。
一読して内容から容易に想像する題名は「戦術史」だろう。でもそれでは興味を惹かないし筆者の意図からも外れる。
……その"筆者の意図"を書こうと思ったのだけど、どうもうまく書けないな。
咀嚼できていないからだろうし、実のところ"考えたくない"ことでもあるのだろう。
しかし、
p18
世界の人々は考えたくないことを考えている
のだ。
知ることをやめるのは簡単だが、戦術も戦闘教義も知らなくして戦略を考えることはできない。他国の戦略を分析することもできない、ということか。
一つだけ。
p159
日本のリーダーたち(民間企業の社長、役員を含めて)は権限に固執するが、責任を分散するのが好きだ。そして彼らは義務を語ることから逃げて回る。義務は実行しなければならず、誰にも転嫁出来ないからだ。
権限が委譲されなければ下の者、中間管理職は何もできないよね。ということを"戦争の歴史"は語る。
■謎物語 読了
ミステリは好きだけど、ミステリについて語ったことはない。
そのような話に付きあってくれそうな人間は周りにいないし――ただ一人だけ思い当たる人物は住むところが遠く違う――、語れるほど読んでいない。
語れるほど読んでいないという事実をとことんまで思い知らされる本で、そして、ミステリについて語ること、語られたことはなんと面白いのだろう! と思わせてくれる本。
p156
しかし評論となれば、読んだところで、まず自分では見えなかろうというところを見せてもらいたい。教えてもらいたい。
とある。
「まず自分では見えなかろうというところ」が満載なわけで、そこが面白かった。
■ハッカーと画家 読了(?)
各章を順不同で読んだので(?)をつけおこうっと。読了したつもりではいる。
原著が書かれてから3年経っている。いくつかの事柄は今はもう古い。
しかし、そこに付随する考察は今も通用するだろうし、いくつかの予想は正しかったのだと判断できるものが多数ある。
素晴らしい。
今からでも遅くない! この本はすごい! 読む価値あるよ!
と本を貸してくれた人に言っておこう。そして自分でも買おうかな、とも思う。
2007-08-30
■サービスビジネス
Youtube と対照的だな、と思った。
大きな投資でアプリ作る → ビジネス始める → ユーザつかず → ビジネス頓挫
小さな投資でアプリ作る → ユーザ集める → ビジネスどうする? → なんて話の前に大きな会社が買収
2007-08-31
■薪ストーブ
書影はBK1で見られる
http://www.bk1.jp/product/02914761
で書いた話題が本になっている。
■正しいことをすればうまくいくというわけではない
隣で(まぁ、右隣ということにしておこう)誰かが困っている。
設計の工程なのに、前工程の成果物が曖昧で手が止まっている。
同じような内容だが細部が違う資料がいくつかあるくせに、どれがどのように意志決定されたのか判らない。どの資料がいつ誰の手でアップデートされたのか判らない。あてにならない。
それでは困る。
進めない。
という話をしたら誰かがこういった。
複数のお客を相手にしているんだから――つまり特定のお客様のシステムを作っているのではなくて、パッケージ商品を作るのにいくつかのお客様からヒアリングをしているということだ――その時その時で入ってくる要求事項がぶれても仕方がない。
だからいくつかある資料をまとめてそれで合意をとるしかないんだって。
「困る」って言ってたって始まらない。それでやれ。
とね。
おいおい。
それが「前工程でやること」じゃないか。それができていないから困るって言ってるんだ。
まぁ、そうこういっていても仕方がない。
確かにその通りで、進むためにはそうするしかない。
……というのは一見正しい様だが、正しいように見えるからこそこれまで皆失敗してきたのだ。なぜそれに気がつかない?
今までの資料を作ってきた人は、皆それぞれがそう思ったのだよ。
「今までの資料が駄目だといっても仕方がない。自分でかき集めて全項目を網羅した資料を作って、それを元に議論をするしかないな」と、そう思ってやってきた結果なんだよ。
だから「同じような内容だが細部が違う資料」がたくさんあるんだ。
それは実は、「細部に同じ内容があるが、全体をみるとバラバラな資料」がたくさんあるよりも遙かに危険な状況なんだよ。
それだけ多くの人が時間をドブに捨ててきた証拠だというのにね。
さらに悪いことに……。
反対側に座っている(つまり左隣だ)誰かが、またそれと同じ様な資料を今作っている。
前工程が終わってはいないのに終わっていることになっている、という状況が生み出す悪夢だ。
次の工程に進もうとする"右隣の人"が困惑している最中に、"左隣の人"が前工程をやり直しているというわけだから……。
■知恵蔵休刊? 今年版を買って「知恵蔵読み」にチャレンジしようと思っていたのに……
速読の課題として、
で紹介されていた「知恵蔵読み」、つまり通読するっていうのをやろうと思っていたのになぁ。
なんて間の悪い。
現代用語の基礎知識はでるんだな。