2010-12-02
■テラー・トレイン観た
なんか同名の近作があるみたいなので注意。これは1980年作品。
いやいやいや、なんでこれがこんなにも評価されていないのか──というかこんなに知名度が低いのか。
やはりスラッシャー・ムービーの体裁のため、ハロウィン('79)、13日の金曜日('80)のフォロワーという位置づけになってしまっているというところだろうか。
この映画を大プッシュしている記事(なんと2ページ!!)がこの本に載っていた。
惹句は「完璧なトリックによるスラッシャー・ムービーの金字塔」
本文中には「本作の犯人は絶対に判らないハズといえる位の素晴らしいトリック」とも。
いや本当に。
アバンタイトル。さえない風貌の青年が、同級生から悪質なイタズラを受けて錯乱し、発狂する(発狂した、と劇中で語られる)。
そして数年が経ち、大学の仮装パーティが列車を貸し切って催される。日常を離れ乱痴気騒ぎが繰り広げられる中、ひそかに忍び込んだ何者かが、イタズラを仕掛けたものたちを1人また1人と殺していく。
とまぁ、プロットだけを書くと80年代のいかにもな感じなのだけど、舞台設定を上手く利用したストーリー運びと、それぞれキャラクターの、特にヒロインの造形が映画のクオリティを押し上げている。
逆にスラッシャー・ムービーとして評価されるのが残念な感じもする。ミステリーとして超一級の、しかも映像作品だからこそ成立する仕掛けは見事なのに……。いや、スラッシャー・ムービーの骨組みが先にあってこそのこの映画でもあるので、アンビヴァレンツなところか。
色々と書きたいことはあるけれど、なかなか観る機会がないであろう作品に時間を使うのもなぁ……ということでここで終わり。
2010-12-03
■伝わらない
どんなトマトにも、アルカロイドと呼ばれる毒性を示す物質が入っていて、問題なのは、その量なのだと。通常私達が食べているトマトに含まれるアルカロイドは、ごく微量で健康を害する量は入っておらず、何の影響も及ぼさない微量のアルカロイドを避けるために、美味しいトマトを食べるのを止めてしまうのは、トマトからの栄養摂取の機会を逃がすことになる。つまり、食品の持つリスクとベネフィットを天秤にかけて、ベネフィットが大きければ食べる価値があり、リスクが大きければ食べるのは避けた方がいい。
そんな話をしました。「トマトに毒が入っていたなんて、衝撃的」というコメントがありました。
「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」 - 食品研究者の夜食日記
を読んでこれ↓を思い出した。
重要な事実を確実に伝えるべく,繰り返し印象的な方法を使って伝達を行ったとしても,それがついぞ伝わることがなかったというのはよくある話だ。
(略)
William Dement は,自身の著書 "Some Must Watch While Some Must Sleep" (邦題:「夜明かしする人,眠る人」)において,生徒たちに最も重要な事実を教え込もうとした試みについて述べている。氏は講義において,平均的なイギリスの学童が歴史について覚えていることと言えば,「ヘイスティングスの戦いは 1066 年」ぐらいのものであるということを述べた。他のことについてはともあれ, 1066 年という日付だけは覚えているものなのだ。 Dement 氏は続けて,氏の講義において核となるメッセージはほんの数個しかないと述べる。例えば,睡眠薬は不眠症を引き起こすという非常に興味深い事実もそれに含まれる。氏は生徒たちに向かって,講義中に扱った全てのことを忘れても,そのような数個の重要な事実だけは覚えておいて欲しいと懇願した。そして氏は学期の間,この訓戒に繰り返し立ち戻っている。
期末試験の最終問題は,「この講義において,残りの人生の間に絶対に忘れないだろうと思うことを1つだけ挙げなさい」というものだった。そして,採点する段になって Dement は唖然としてしまった。ほぼ全ての生徒が "1066" と書いていたのである。
そのようなわけで,私は非常に不安になってしまうのだけれど,それでも読者の方々に提示しなければならないことがある。それは, C++ の OOP において最も重要なルールは「パブリック継承は "is-a" の関係を意味する」ということである。これを記憶に刻み込んでおいて欲しい。
(略)
Radium Software Developmentユタ大学の基礎天文学の授業において,ある教授は,学期の初めに生徒たちに向かって次のように述べた ― 「今から,期末試験に出る問題を教えたいと思います。しかも,正解をここで教えてしまいます。その問題とは『日中に月は見えるか?』というものであり,正解は『見える』です。それでは,みなさん外に出てください。」 彼は生徒を外に出して,月を指差しながら言った ― 「見てください。今は昼です。そして,あそこには月が見えます。」
期末試験になると,彼は『日中に月は見えるか?』という問題を出す。すると,大抵の場合,約 1/3 の生徒が『いいえ』と答えるということだ。
デマの広がり方についてのとあるツイート、
今まで自分が見聞きしてきたものと違う事柄を突きつけられると、ついつい人に教えてくなるらしい。
http://twitter.com/#!/heMiLtage_owner/status/27240602240
を見て、あぁなるほどと思ったのだ。
人は、語り手が伝えたいと思っていることよりも、自身の経験や知識に照らし合わせてみて「え? そうなの!?」と驚いてしまった事柄や、「へ〜、そうなんだ」と感心してしまった事柄の方をより広めようとしたり、強く記憶してしまうのではないか、と。
(引用ばっかりですな)
2010-12-15
2010-12-17
■A glass of water
トヨタ スウェーデンが立ち上げたサイトらしい。
車の運転の距離や時間、そして燃料消費をトラッキングしてしっかりと認識しましょう、ということをテーマにしているらしい。
iPhoneアプリを配布している。
おそらくは、サイトに登録した上で使うことで運転距離や時刻、そして加速度をトラッキングして、サーバにアップしてくれるのだと思う。私はiPhone*1も車も持ってないので、試すことはない。間違ったことを書いているかもしれない。悪しからず。
なのになんでこんなエントリを書いたかというと、サイトに登録しなくてもこのアプリの起動画面が小粋だからだ。
AppStore初期によく見かけた水平メーターになっている。これがサイト名でもある「カップに注がれた水」を模していて、美しい。
*1 多分GPSを使うんじゃないかなぁ、と思った。
2010-12-27
■Landreaall 17
いろんなキャラクターがいろんなところで動いている。それぞれが別の話なのではなく、全体で「本編」を作り出している。
ストーリーテラーとしての力量を感じる、充実感にあふれる巻だった。
読み終わった後、既刊を引っ張り出してきて、カミさんと侃々諤々──はちょっと意味が違うか?──な話し合いをしたりした。
楽しかった。
……あ?
なんてのが出てるんだ? むむ。