2016-04-05
■あしたは戦争
アンソロジーって難しい。
最後の2篇、すごく面白かった。でも、これらは軽妙な雰囲気の中にテーマを潜ませているのが面白いのであって、この本のようにテーマが前面に出ている中だとその軽妙さが逆効果になっているように見えた。
あと収録順も難しいなぁ……。この2つが最後なのも良くないなぁ、とも。
2016-04-07
■トライアングル
いきなりネタバレ気味に言うと「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」とか「サマー・タイムマシン・ブルース」みたいな凝ったプロットが好きな人にはたまらない感じ。
とはいえ、想像していたよりはずっと凝った仕掛けだった。
もうちょっとホラーな演出かなと思ったけど、そうでもなくて、ミステリからサスペンスの間、サスペンス寄り。
でも、ゴア描写ではないもののショッキングなシーンがあったなぁ。端的に何が起こっているのかを示している薄気味が悪いシーンがあって、これはすごいと思った。
ディスクの不良で最後の方のシーンで肝心なところが見られなくて、だいたい何が起きたか想像が付くけどそれでも何が起きたんだ! ってところがあって残念。
そのせいかわからないけど、最後の最後、なんかびっくりするようなシーンでごまかしてしまえみたいな感じがして、微妙につじつまあってないようなスッキリしない感が残った。
道中はすごく面白かったし、凝ってるな〜と思って見ていただけに残念な。
2016-04-09
■たそがれゆく未来
書かれて半世紀経ってもなのこの切れ味か! と嘆息するようなすごいものもあれば、なんで収録されたのかな? と首をかしげるものもあったりと。
やっぱり、ここまでテーマを絞ると多様性がなくなってアンソロジーとしての魅力は薄れてしまうなぁ、とまたも思ったこのシリーズであった。
2016-04-14
2016-04-19
2016-04-26
■小川一水×3
臨機巧緻のディープ・ブルー と 砂星からの訪問者 は同一世界、同一登場人物の続き物。
異星生物とのコンタクト(と戦闘)もの。登場人物がみんな優秀。艦隊のトップを務めている人だから当然優秀。
主人公の好奇心。支援人工知能のポーシャとの小気味よいやりとり。謎多き異星生物。
気持ちいい。
イカロスの誕生日 は結構社会派。重力への干渉ができる翼状の器官を持った
イカロスは、とにかく自由でありたい、という気質を持つ者として描かれる。それゆえに《何者か》に敵視され、社会からゆっくりとはじき出され、居場所を失っていく。
対抗し、イカロスの居場所を作ろうとする人との出会いと闘いが書かれる。
こちらはだいぶ前の作品ということもあって、色々と荒さがあるように感じられる。そういってよければライトノベルっぽい雰囲気がある。でも主人公のキャラクターの気持ちよさがまさる作品だった。